妊活前にこそ夫婦で話しておきたい、流産のこと

結婚生活を2人で十分楽しんで、そろそろ妊活のタイミング。その様なカップルは妊活に向けてどのような情報収集をするのでしょうか。

妊娠のタイミングの取り方や、出産後の二人の生活の変化についてでしょうか。カップルによっては、不妊治療の相談もするかもしれません。

一方で、 流産や死産といった避けたい話題について事前に話し合いを持つカップルは殆どいないのではないでしょうか。

しかし実際には、多くのカップルが表に出てくる事のない流産の悲しみを経験しているのを知っていますか?

妊活前の今だからこそ話せる流産の事、二人で話してみませんか。

流産の頻度は約15%。誰にでも起こり得る可能性がある。

妊活を考えている皆さんにとってはショッキングなデータかもしれません。流産の頻度は全ての妊娠の約15%に起こります。

また、男性・女性両方の加齢は流産の頻度を押し上げる為、年齢と共に流産率は上昇。40歳女性の流産率は50%を超えます。

これらの流産の原因は殆どが染色体異常と呼ばれるもの。着床は出来たが、もともと受精卵そのものが異常を持っていた為に、成長していく過程で「淘汰」される状態を指します。

染色体や異常、という言葉が出てくると重大な病気の様な響きがありますが、もともと育つことができず流産してしまう運命の赤ちゃんが一定の割合でいるのです。

夫のせいでも妻のせいでもない。突然の天国から地獄へ。やり場のない悲しみ。

昨日まで幸せの絶頂にいた夫婦が、何の予兆もなく突然病院で流産を宣告される。胎児の週数によっては、悲しみに浸る間もなく手術を受ける必要があるなど、天国から地獄へと突き落とされる夫婦の悲しみは想像に難くありません。

病院では医師や看護師から、「染色体異常は誰にでも起こりうることだから、お母さんやお父さんのせいではない」と慰められることが多いです。

しかし一方で、仕方がない・原因がわからない、と言われるからこそ生まれる「やり場のない悲しみ」は言葉で表すことができないでしょう。

夫婦間や、親子間、義両親間でのコミュニケーションで、更なる苦しみが生まれる事もある

流産は多くのカップルの間で起きている、夫にとっても妻にとっても悲しい出来事です。しかし一方で、流産に伴う身体的負担は妻だけが背負う為、残念ながら夫婦の間でも意識の差が生まれてしまう事があります。

「俺の友人は皆、無事に出産したのに」夫の何気ない一言が、悲しみのどん底にいる妻を傷つけてしまう事が多々あります。

一方で、妻が「私と同じ悲しみを夫は感じているのだろうか」と夫を試すような行動をとったり、自分の期待通りに振舞わない夫を責めてしまう事も多々あります。

また、時間の経過と共に夫が流産の悲しみを忘れている様に感じ、決して癒される事のない喪失感を抱えているのは自分だけだと、孤独を感じる事もあります。

更に、親や義両親が自分自身の経験に照らし合わせて「私たちは流産したことがないのに、何が原因だったのか」といった言葉をかけてくることも多くあります。

「受診時に夫や両親、義両親からの支援について不満を訴える患者も多い」と不育症が専門の茗荷谷レディースクリニックの河合先生は言います。

流産が続く「不育症」

一般的には、2回以上流産が続く状態を不育症といいます。更なる検査を行い、流産が続くリスク因子が発見されるケースもあり、その場合には治療を行う事で出産に辿り着くことが出来るケースもあります。

専門の不育症外来をもつ病院では、一般的な産婦人科よりも時間を取って、患者の心身により配慮をしながら診察をするケースが多く、また治療のノウハウも多く持っている為、不育症の検査を受けたい場合には専門外来や不育症に詳しいと掲げている病院に通院すると良いでしょう。

妊活前の今だからこそ、話し合えることは沢山あるはず

これまでの話しの中で、流産が決して特別な事ではない事、夫婦で力を合わせて乗り越えていく必要があると感じた人は多いのではないでしょうか。

その上で、どのように妊活を進めていくのか。今だからこそ話し合えることは沢山あるはずです。

二人がどのような足並みで妊活をしていくのか。残念ながら流産や死産となってしまった時に、どう心を合わせて乗り越えていくことが出来るのか、是非二人で話し合ってみてください。

例えば、夫婦それぞれどのように妊活を進めていくイメージを持っているのか。お互いの足並みは合致しているか。特に、不妊治療へのステップアップを検討している場合には具体的な進め方を共有できているか。

また流産になってしまった場合に、夫・妻が共に子供を失ってしまった当事者として、パートナーにどのようなサポートを期待したいか。

そして、悲しみに暮れているパートナーに対して、寄り添いと配慮の気持ちをもって何が出来るか。

流産は誰にでも起こりえる事。だからこそ、目をそらさずに夫婦で話し合う事で、お互いの愛情と信頼関係を再確認し、前向きに妊活を進めていってもらいたいと思います。

監修医師紹介

茗荷谷レディースクリニック 河合有希先生

群馬大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院等での勤務を経て茗荷谷レディースクリニックを開業。専門は不育症。患者の声に耳を傾け、寄り添う気持ちを大切にしています。受容力の中にもどこか芯の強さを感じるお人柄です。