正社員とフリーランス 妊活のしやすさ、キャリアの満足度を徹底検証②
写真はイメージ
コンサル、ライター、日本語教師としてパラレルキャリアを歩み始めた子さん。一見順調に進んでいるかに見えたF子さんのキャリアですが、実は不妊治療に関しては悩みがある様で、、、
フリーランスにとって、目の前の時間を融通するのは至難の業
― 一般的にフリーランスは、通勤時間もない、毎日会社に行かなくていい、案件がない時は自由、などの働きやすい・時間の融通が付きやすい、といったイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
そうですね、それは確かに合っています。気の進まない仕事などは断ることもできるし、子供の学校行事など、予定が事前にわかっている時は調整できる。正社員よりは圧倒的に時間の融通が利きます。
但しそれは、「あらかじめ決められた予定」に対してのみ言えることなんです。
フリーランスは、信用第一。仕事に穴をあけるとクライアントを困らせる事になるし、何より自分自身の評価に直結する。一度穴をあけたフリーランスに仕事を頼むクライアントはいないので、決まっている仕事を休めない事へのプレッシャーは正社員の時と比べて格段に上がりました。
私は次からは体外受精に進むことにしているのですが、体外受精となると急な休みを短期間のうちに何回も取る必要がある。そうなると、長期の案件は必然的に受けれなくなります。自分の生理周期を計算しながら、短期の案件中心。
しかし短期の案件はギリギリで発注されることが多いため、先を見通して仕事の予定を組むことが出来ません。また、仕事内容によっては代理を立てる事も出来ますが、直前に代理を頼む仲間にも申し訳なく、あまり現実的ではないんです。
- 確かに、体外受精は最も通院負担も多く、突然の休暇取得が必要になってきます。結果にシビアなフリーランスでは、中々厳しいかもしれませんね。
はい。フリーランスは育児という視点では本当に働きやすいと思います。在宅可能な業務であれば、家事と並行もできるし、子供の都合を一番に考えてスケジューリングもできます。
ただ、フリーランスは育児給付金(育児休暇中に雇用保険から支給される国の給付金制度)がないので、復職した後に育児の為にフリーランスへ、という流れがお勧めです。ただ、不妊治療には、、、
時間の他にも、体の変化や保育園問題。考える事は盛だくさん
ー 他にも困っていることはありますか?
はい、まず加齢による体の変化です。
実は、加齢とともに生理周期が短くなってきました。その為、排卵日~翌月排卵日の間隔がこれまで28日程度だったのが、23日程度になってしまったんです。
結果として、通常よりも更に短いスパンで毎月不妊治療をすることになってしまいました。今月の不妊治療が終わったらすぐに来月の不妊治療、という形でますます仕事のスケジュールを入れられなくなってしまったんです。
結局、穴を空けたくない、仕事仲間に代わりを依頼しずらいという理由で、体外受精開始を決意してから数か月 、未だにモヤモヤと悩んで治療開始に至っていません。
他にも、保育園問題があります。
私の自治体では、フリーランスで保育園に預けている親は、どうやら本当に就業実績があるのか調べているようで(※自治体による)、収入が少なかった時に本当に仕事をしているのか調査に入られたことがありました。
仕事を続ける為には保育園は必須→不妊治療をしたいから仕事量を減らす→自治体から調査が入る→保育園をキープするために仕事量を減らせない、、、このスパイラルの中で身動きが取れないと感じることが多々あります。
正社員かフリーランスかではなく、代わりのいる職場か、そうではないか
ー これまでの話をまとめると、育児と仕事の両立という観点では、間違いなくフリーランスがよさそうですね。ただ、不妊治療という観点で見ると、正社員でもフリーランスでもどちらも通院負担がある状況は変わりはないですね。
そうですね。今まで正社員とフリーランス両方経験して思ったのですが、どちらが有利、という事は決められないと思います。それよりも、「自分の代替要員がいる職場かどうか」という事が重要だと思う様になってきました。
例えば、出産後は私は正社員として復帰していますが、常駐スタイルの仕事で且つ替わりの人がいなかった状況で本当に大変でした。私は当時プレイングマネージャー(自ら営業もするメンバー兼マネージャー)だったのですが、私と同じ経験のあるマネージャーは皆無。
経験領域×マネージャーという事で、本当に替わりになる人がいなかったのです。
ただ、よく経験を積んでから産むか?経験がなくても若いうちに産むか?という産み時の議論があると思うのですが、一概にマネージャーだからダメだったという訳ではなくて。
例えば、一社目の大手企業では、マネージャーはプレイングではなくメンバーの管理を専門でやっていました。自分でプレイングとしてお客さんを持っておらず、メンバー管理がメイン業務であれば、休みを取っても影響が出にくい。また、新人もそうです。新人は大きな営業先を任される事もないので、営業先への迷惑は掛かりにくい。
一方で、リーダー職の人はメンバーのマネジメントをしながら自分も営業をしているので、中々替わりは見つかりません。
産み時については、若いか経験を積んでいるか、あるいは正社員かフリーかではなく、替わりになる人がいるタイミングはどこだろう、という事を考慮に入れて考えるという事が大切だととつくづく思うようになりました。
ー 以上のことを振り返ってみると、改めてご自身の産み時やキャリアについてどう考えますか?また、なにか読者へのアドバイスがあればお願いします。
やはり親や自分自身の体力を考え、30代前半までには全ての出産を終わらせておきたかったという気持ちが強いです。
私は仕事をしながら資格取得やスクーリングをしたりと様々な事に手を出してきましたが、どれも一つとして手を抜いたことはない、という自負があります。それが今の仕事につながっている。
仮に30代前半で出産を終えても、きちんと真面目に仕事と向き合っていたのでフリーになってから仕事の心配はする必要がなかったのではないかと思います。そして、これまでのキャリアで経験を生かした仕事で収入を得られるから、新しいキャリアにも挑戦しやすい。
特にこれからは女性の高学歴化に伴い、浪人や大学院進学、留学で社会人になる年齢がじわじわと上がっている。第二新卒で全くの異業界に転職、ゼロから仕事を覚えなおし、という人も多いでしょう。
仕事に一生懸命向き合いながら、うまく産み時タイミングやポジションを探していってほしいです。
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タグ: 仕事と育児の両立, 産み時