ピルのメリットを知り、ポジティブに健康と美をコントロールしよう!
ピルについては「聞いたことはあるけど、詳しくは知らない。」「副作用が心配」という人も多いのではないでしょうか。あまり日本では普及していないピルですが、実は女性の健康と美を守り、毎日を笑顔にしてくれる薬です。(医師監修:東京都稲城市立病院産婦人科部長 櫻井 信行先生)
海外では女性は当たり前にピルを活用している
日本女性のピルの普及率は約3%。それに対して、ヨーロッパの普及率は30%、最も普及しているドイツでは50%を超える。(日産婦誌61巻10号より抜粋・要約)
一説では働く女性に絞ると海外でのピルの普及率は更に高くなるそう。
海外のエリートはどんなに忙しくてもジムに行き、健康維持に重きを置いている人が多いですが、同様に「女性特有の健康問題」も積極的に自分でコントロールをしていこう、という気持ちがあるのかもしれません。
では、具体的にピルにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
生理痛、月経過多、貧血、生理不順などの様々なトラブルを軽減
え!?こんなに多くのトラブルに効果があるの?と驚いた人も多いのではないでしょうか。
まず、ピルは毎日飲むことで子宮内膜(毎月の生理のもと)が薄くなっていき、それにともない生理の量は少なくなるのが一般的です。その為、生理痛、月経過多、貧血などの様々なトラブルも軽くなる事が期待されます。
また、28日を1クールとして薬を服用し、その後に生理(消退出血と呼ぶこともあります)が来るため、規則正しく生理が来るようになります。
旅行、結婚式、仕事など大切な日の生理を回避できる
ピルは基本的には21日服用→7日休薬を繰り返すのですが、休薬のタイミングを意図してずらすことで、生理日を早めたり遅らせたりすることが出来ます。
折角リゾート旅行に行くのに、スーツケースの中でスペースを占める生理用品にため息をついたり、いつ来るかわからない生理に備えてナプキンを下着に当てているので肌が蒸れてブルーな気分になってしまったり、、、そんな経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。
「大切な日を生理痛で台無しにしたくない」「生理になるかならないか、、、今から心配」「経血を気にしないで思いっきり楽しみたい」という人は月経移動について産婦人科の先生に相談してみましょう。(※飲み始めは体に合わないと感じる人もいる為、2~3か月前からピルを飲み始めて体を慣らしておくと安心です。)
PMS、PMDDの軽減
PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前気分障害)も生理後は症状がなくなる為、あまり深刻な問題として取り上げられることは多くありませんでした。しかし、中には「パートナーに暴言を言ってしまう」「子供を叩いてしまう」などの症状に苦しんで婦人科に相談に来る患者さんは多くいます。もしあなたがPMSやPMDDを持っていて且つ生理痛もあった場合には、月の3分の1~半分は生理に苦しめられていることになります。「時間がたてば解決する」と考えるのではなく、思い切ってピルを飲むことで精神的な苦痛や自分を責める気持ちから解放されるかもしれません。
将来の不妊リスクの軽減(子宮内膜症の予防)
「婦人科で腹腔鏡の手術をすると、子宮内膜症の診断を受けていない女性でもお腹の中に子宮内膜症の病変が発見されることが良くある」と櫻井医師。
現代女性の10名に1人が持っていると言われている子宮内膜症は、もはや女性特有の国民病といってもいいかもしれません。
そして不妊症女性の約50%に子宮内膜症があると考えられており、子宮内膜症を予防すること・進行を予防する事は将来の妊娠にとって極めて効果的です。
あまり知られていませんが子宮内膜症の治療薬・予防薬としてピルは世界中で広く使われています。子宮内膜症と既に診断されている人は勿論の事、現在生理痛・排便痛・性交痛などがある方は子宮内膜症の予防の為にピルを飲むことを強くお勧めします。(※ピルで全ての不妊リスクを取り除ける訳ではありません)
自立した避妊で手間やストレスからフリーに
コンドームで避妊をしている人であれば誰しも、こんな経験があるのではないでしょうか。
- ドラッグストアに買いに行くのが面倒、恥ずかしい
- 隠し場所に困る
- セックス時に密着感が得られない
- ゴミ袋から見えない様に気を遣うのが面倒
- パートナーがコンドームを望まない事がある
よく考えると、避妊をコンドームにすることは、男性側に避妊方法を依存するという精神的な不安は勿論の事、これだけの手間や面倒、ストレスをかけているのですね。避妊の手軽さ、合理性では圧倒的にピルに軍配が上がります。
生理前のニキビを減らし、美肌にも効果あり
生理前に出来るニキビはホルモンバランスの乱れによるもの。ピルはホルモンバランスを一定に整える働きを持つため、ニキビの改善にも効果があります。
想像してください。朝、ピルのおかげで生理にも拘わらずスキンコンディションは万全。メイクのノリもよく、快適な一日のスタートを切る事が出来たら、とても素敵ですよね。
たった一日一錠の薬が、あなたの毎日をポジティブなものに
ピルにこれだけの大きなメリットがある事に、驚いた人も多いのではないでしょうか。
これまで女性は、「生理痛になれば薬を飲んで耐え」「避妊はパートナーにお任せし」「不妊症になれば高額で辛い不妊治療をする」という常に受け身にならざるを得ない辛さがありました。
しかしたった1日1錠のピルを飲むだけで、それらの問題を自分でストレスなくコントロールすることが出来るようになるのです。
勿論、薬なので副作用(血栓症、軽度の不正出血など)もあります。合うピル、合わないピルもあります。是非産婦人科の先生に相談し、理解をした上で試してみてはいかがでしょうか。
監修医師紹介
東京都稲城市立病院産婦人科部長 櫻井 信行先生
レディースクリニックのない東京都稲城市において、稲城市の女性の健康を一手に引き受けています。内視鏡手術を専門とし、婦人科系疾患の幅広い症状に対応。具体的かつ丁寧な説明に安心感があります。プライベートでは3児のパパ。
タグ: 生理に関するトラブル