健康経営のPDCAとは
PDCAとは
PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字をとったものです。
簡単にいえば、Plan(計画)⇒Do(実行)⇒Check(評価)⇒Action(改善)そして、次のPlanにつなげていくというようにPDCAのステップを繰り返し回していきながら、継続的に業務を推進していく方法です。
ビジネスを推進するために用いられるものですが、より細かくみていくと、製造業、サービス業といった業種ごと、あるいは営業、マーケティングといった職種ごとのPDCAサイクルなど、例は枚挙にいとまがありません。
いずれにしても、PDCAの本来の目的が計画を実行して評価改善することということを前提にして考えると、それぞれが乗り越えたい課題を的確に捉えて、それをより良い方に解決していくのがPDCAの本質だといえます。
今回は「健康経営におけるPDCA」をテーマとして、PDCAサイクルの回し方についてご紹介します。
健康経営のPDCA
健康経営を推進するためのPDCAのやり方については、様々なところで紹介されていますが、例えば、経済産業省による「企業の「健康経営」ガイドブック」などが参考になります。
そこで、このガイドブックに沿って、健康経営のPDCAサイクルについて考えてみたいと思います。
計画を立てる(Plan)
まずは経済産業省が提示している認定基準に則って、出来ている事・出来ていない事・会社として取り組まなければいけない課題の洗い出しが必要です。
ここで大切なのは、認定基準をひとつずつクリアすればそれでいいという総チェック方式ではなく、それに取り組むことで本当に健康経営の最終目的である業績向上・企業価値向上につながるのか、という経営の視点です。
施策を実行する(Do)
また、従業員個人の生活習慣に問題があれば、生活習慣改善のモチベーションを向上させる取組や行動変容を促進する取組を実施することが必要である。例えば、健康診断の結果、生活習慣病のハイリスク群であると認められる従業員に対し、定期的に電話や面談等による保健指導を行い、生活習慣の改善を促すことや、健康に関する情報提供や運動機会の提供といった取組を通じて従業員全般の意識向上を図ることなどが考えられる。(出典:経済産業省「企業の「健康経営」ガイドブック」p.8)
計画を実施するにあたり実施者側として気を付けなければならないことは、受け手はきちんとマインドの醸成が出来ているか、という事です。日々業務に追われている社員は会社としてミニマムな健康診断ですら煩わしく感じることも多いでしょう。
メールやオンラインセミナーできちんと重要性やスケジュールを告知すること・楽しく参加できる仕組みを考えることが大切です。
それでも社員の協力が得られない場合には、働き方改革における有休推進を共同で行ったり、女性活躍推進・ダイバーシティ推進研修で女性の健康についての時間を設けるなど、横の部署と連携を取りながら施策を行っていくことも重要です。受け手の社員も、負担なく健康経営を推進することが出来ます。
取組を評価する(Check)
ガイドブックに紹介してある評価のための3つの視点は簡単にいうと次のようになります。
ストラクチャー指標
経営者の健康経営へのコミットメントや体制などを評価する際に用います。この指標によって社内外のリソースは適切であったかを考えます(ガイドブックp.13-19を参照)。
プロセス指標
方法などを評価する際に用います。この指標によって課題の把握や課題対して実行した施策そのものが適切だったか、評価や改善の仕方は適切だったかなどを考えます。(ガイドブックp.19-24を参照)
アウトカム指標
施策の成果を短期的あるいは長期的に評価する際に用います。この指標により施策が狙った成果は得られているかなどを考えます。具体的には、欠勤・休職日数やアンケート、身体的指標(血圧、血糖値など)、生活習慣指標(運動習慣、睡眠・休養など)などを用いて従業員に対する施策のベネフィットを把握します。(ガイドブックp.24-32を参照)
施策を改善する(Action)
このような評価指標を基に、何が効果を生み、何が効果を生んでいないのかを確認・検証し、次の施策につなげていきます。例えば、セミナーへの参加率が低い場合は、告知方法、会場の場所、開催日時等を工夫するといった方法があります。一定の効果が得られている場合でも、次の打ち手を考えるなど、さらなる健康経営の促進につながるような施策を考えていけばよいでしょう。
1回の施策だけではきちんとした成果を出すことはできません。評価指標をもとにして確認・検証をしていくことは非常に重要です。 しかし何より大切なことは、経営トップを長とした健康経営組織がきちんとしたPDCAを回しつづける姿勢を示すこと。それこそが、社員に対してのメッセージとなり、エンゲージメントの向上につながっていくのです。