不妊治療退職したOLが仕事女子に捧げるアドバイス

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最近ネットで話題の不妊治療による「サプライズ退職」。仕事は好きだけど上司に相談出来ない、治療で何度も会社を休む、等の理由から両立を断念し、突然退職をしてしまう事をいいます。実は筆者もサプライズ退職をした一人。「いつかは妊娠したい」仕事女子に捧げるアドバイスとは?

ざっくりと、体外受精の概要とスケジュール説明

まず、想像してください。

・生理開始~採卵までの2週間で、合計78回の通院が必要になります。

・所要時間は私のクリニックの場合、8301330くらいまで

・勿論、通院は先生から「じゃ、明日きて」とか突然宣告されます。(事前スケジューリングは全然できません)

なんでこんなに通院が必要かというと、ホルモン投与をしながら注意深く卵子の成長を見守り、最適なタイミングで最高の卵を採る為なんですね。例えていうなら、パン職人やワイン職人が気候や温度に合わせて酵母を注意深くチェックする様な毎日の観察が欠かせないのです。そして、そのスケジュールは先生の熟練の勘で「では2日後に来てください」と突然言われます。

体外受精の費用

私のクリニックでは、1クール(採卵+子宮への卵戻し)で70万円でした。勿論、クリニックによって金額に差はありますが、都内のそこそこ実績のあるクリニックでやろうと思ったら、こんな相場でしょう、という感覚の金額だと思います。

有休取り放題の、最高の職場だった

実は私の会社は、珍しく有休取り放題でした。

よく不妊治療をしている人は「また会社休むの?なんで?」という上司や同僚の視線に耐えられない、という話を聞きます。

が。

私の会社は「クリニックに行くから会社休むよ」とメールすると「エンジョーイ !(by 外国人上司)」という絶対メールの内容見てないだろ~という様な返事が返ってくる職場でした。つまり、不妊治療をするにあたり、これ以上ないほどに恵まれた環境にいたのです。

しかし、職種が営業だったため対外的には話は別。業界的に、日夜問わず緊急で状況が変わったり、クライアントから呼び出しをされる事がある仕事だったので、採卵までの2週間はとにかくアポが入らない様に、毎日毎日ドキドキの綱渡り状態でした。緊急アポに行けずに逃した商談もあります。

つまり、有休取り放題の職場にいた私でさえ、不妊治療と仕事の両立は出来ていませんでした。

そもそも、何故不妊症になったのか

私、若いころから相当の生理痛持ちでした。25歳の時に初めて産婦人科に行ったらアッサリと子宮内膜症と診断され、手術でチョコレート嚢腫を摘出。それでも30歳の時に第一子を出産し、「妊娠はしにくいんだろうけど、産める体なんだな~」と余裕ぶっこいていました。でも当時の私は知らなかったのです。子宮内膜症は一生治らない。生理の回数を重ねれば重ねるだけ、悪化していくという事を。つまり、

「不妊か」「不妊じゃないか」ではなく「不妊に向かって少しずつ進行していくもの

だったんですね。

気がついた時には子宮筋腫と子宮腺筋症も併発。不妊治療のホルモン薬の影響で内膜症は更に悪化し、ゴッリゴリの不妊になっていました。

退職の決定打は?

クライアント対応は苦戦しながらも、何とか綱渡りでやっていく月日が1,2年続きました。でも採卵と並行して、婦人科の方で子宮腺筋症の治療をする判断をした為更に有休が増え、いよいよ限界が近づいてきてしまいました。そして、診察過程で受けた子宮体癌検査。あまりの痛さに駅のホームで座り込んでしまい「もうこれ以上は無理!」と突然限界を迎えてしまったのです。もう限界だ、、、そう思った私は、2日後には上司に退職を申し出ていました。

不妊治療は精神的にも業務的にもギリギリの状態が長く続きます。そして、その緊張の糸が突然ぷつっと音を立てて切れてしまうのです。

頑張ろうと思ってもある日突然、自分を精神的にコントロールできなくなる日が来る。それが不妊治療と仕事の両立の難しさなのではないでしょうか。

結論:不妊治療と仕事の両立は無理ゲーである

身も蓋もない事を言ってしまいすいません。でも、これが私の本当の結論です。不妊体験者支援団体NPO団体Fineのアンケート調査によると、体験者の96%が両立は困難と答え、50%が退職をしています。

つまり、

不妊治療に突入した瞬間に、仕事を諦める覚悟をする必要がある

という事なのです。女性の社会進出の影響で不妊治療がどんどん普及してきているのに、矛盾した話ですよね。

仕事を続けたいなら、不妊になる前に産むしかない!

勿論、個人の事情は様々だと思います。まだ結婚もしていないのに、今は仕事に集中したい、夫の理解が得られない、、、

でも、将来に備えて自衛できることは沢山あります。

婦人科に行き、不妊を予防する。

例えば、子宮内膜症を原因とした不妊はピルで予防できます。未婚でも若いうちから検診に行くことで対処できることは沢山あります。まずは体の状態を知り、打てる手を打ちましょう。最近のクリニックは夜や土日に開業しているところも多くあるので、足を運ぶ習慣をつけましょう。

目の前のキャリアにしがみつかない。

このプロジェクトが終わったら、昇進が出来たら妊活を始めたい、、、。よくわかります。でも、この現実を知ってください。

  • 日本人女性の初産平均年齢は30歳
  • 希望出産人数は2人。
  • 保育園に入れず1年以上復職が出来ないのは当たり前。
  • 35歳以降は高齢出産となり、年齢と共に妊娠率は下がり、流産率は一気に上がる。

つまり、子供二人を安心安全に産む、というささやかな願いを高齢出産になる前に叶えようとしたら、30歳~35歳のたった5年の間に、産む→産育休(産前休暇~復職まで1年ちょっとはかかる)→復職→産む、を実現しなければならないのです。

これが私たちが直面している現実。

キャリアを大切にするのであれば、今のキャリアにしがみつかずに、早めに産んで戻ってくる、というしたたかな長期戦略も重要です。

そして、それこそがサプライズ退職をしない為に大切な事なのです。

もしあなたが仕事にやりがいを感じているのであれば。「産み時」という答えの出ない問いに悩んでいるのであれば。この記事が、仕事を続けながら自分の妊娠・出産を考える為の一助となることを願ってやみません。

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