コラム

チームコーチが考える:あなたの職場に、本音を語る場はありますか?対話の力と効果とは。

本日のコラムは、「あるべき論や前提を取り払って本音で対話をすると、思いがけない本質が見えてきた」をテーマに書いていきたいと思います。女性活躍のある事例をご紹介しますが、女性活躍に関わる方だけでなく、組織開発・組織長・人材開発に関わる全ての方に読んでいただけると幸いです。


先日ある基幹産業の大規模集会にて、各団体の女性活躍推進担当者の方向けのセミナーを実施しました。参加者の所属企業は、誰もが知っているグローバル企業から女性が職場に一人という状況で孤軍奮闘している方まで実に様々。

どのようなセミナーにするか悩ましかったのですが、思い切って「ポジティブだけでなくネガティブも話してください。どんな発言でもウェルカムです。」と伝え、そもそも担当者の皆さん自身が本当に女性活躍に興味があるのか?やりたいと思っているのか?やらされているのか?を語り合うセミナーにしました。

本音を語るからこそ、参加者の誠実さに触れることが出来た

女性活躍を進めていく中で推進者の誰もが遭遇する「あるある」が、女性活躍を推進する中で感じる少しネガティブな感情です。

例えば、当事者である女性社員達は「女性だけ特別扱いされたくない」「既に頑張っているのに更に頑張らなければいけないのか」という感情を抱えているケースがよくあります。

女性活躍を推進する人事の方は「やってもやっても女性活躍が進まない」「必要なことなのに、管理職や当の女性からも風当たりが強い」という難しさを感じています。加えて、女性比率が少ない会社であれば「女性というだけで女性活躍担当者に任命されて困惑している」という方も一定数いらっしゃいます。

「本当はやりたくない」という本音ばかりで収集がつかなくなったらどうしようというドキドキ感をもちつつ、また、「どんな本音もOKといったからには、本当に私自身が一貫してOKのスタンスでいなければ」という少しの緊張感も持ちながら、セミナーを組み立てていきました。

しかし開催して現場で実感したのは、「皆さん自身が課題意識や思いを少なからず何か持っている。きちんと向き合っているからこそ葛藤がある」という参加者の皆さんの真摯な姿勢と力強さでした。

当時に、ある企業様で実施した女性向けキャリアカウンセリングの事を思い出していました。一般論として「女性は管理職になりたがらない」という論調はどこの会社でもあります。カウンセリング実施前は私も企業のダイバーシティ担当の方々も「管理職になりたくない」という声が多数を占めるのだろうと予想していました。しかし「何でも話してください」を前提に上がってきたレポートで明らかになったのは「まだまだもう一花咲かせたい」「チャンスがあるならチャレンジしたい」という前向きな声でした。

あるべき姿が決まってない対話は楽しい。そして希望に満ちている。

企業の中では、決められた方針に向かって効率的に成果を出すことが求められます。基本的には「あるべき姿」があって当然です。ですが、時に組織の中に息苦しさやごまかしの感情が存在していると感じる瞬間はありませんか?

結論ありきではなく何でも話してOKな場があると、「本当は私はこう思っていた」「実は辛いと感じることはある。でも…」という会話が展開されていくことが多くあります。

そこに人は、普段は見ることの出来ないお互いの葛藤、思い、誠実さ、希望を見出していきます。こうした「あるべき論におもねる必要ない本当の感情の交流」こそが、明日への活力になっていくのです。

そしてわかるのは「あるべき論」をわざわざ語らなくても、本当はあるべき方向にみんな行きたいと思っているのだな、という安心感、連帯感、一体感なのです。

そんなことを改めて、現場で頑張る参加者の皆さんの姿を見ながら実感していました。

2時間を工面出来れば、対話は出来る

今回の女性活躍セミナー、初対面同士の「はじめまして」からスタートし、要した時間はランチタイムの2時間でした。

勿論、じっくり時間をとれるのであれば、それに越したことはありません。本当の組織の変革には時間が必要です。しかし、最初の一歩という事あであれば2時間は十分な時間です。

一度、「なんでもウェルカム。何を言ってもいい。本音を語ることこそが最も大切なこと」をお約束に、時間を作ってみませんか。組織からどんな声が上がってくるのか。組織にはどんな「心」と「可能性」が眠っているのか。是非2時間の探求ツアーに出てみましょう。