コラム

「組織には対話が必要だ。」「でも対話は嫌だ。」対話の先入観・勘違い・メリットをチームコーチが解説

「人が集まり、仕事を進めていく意味」が再定義されようとしている今の時代に、対話が注目を浴びています。しかし一方で、企業ではあまり対話の導入が進んでいないのも事実です。なぜ対話は総論賛成・各論反対になりがちなのでしょうか。

なぜ対話が必要なのか

「いつもの思考・いつもの会話・いつもの行動によって、いつもの結果は生まれる」

これは、私が対話の現場で必ずお伝えする言葉です。組織には、その組織の在り方を形成する「いつもの思考・いつもの会話・いつもの行動」が必ず存在しています。

例えば、

いつもの」その①:

受け身な部下が多く、上司がお世話係のようになってしまっている→部下がますます受け身になる→現状打破のために上司が更にお世話をするループ

いつもの」その②:

業績達成をしなければ認められない→達成できない人は居心地が悪くなり退職→いつも人が入れ替わり立ち代っているループ

いつものその③:

「なんでも話し合おう」といっても、下を向いて本音を言わない→一部から、反論の余地のない正論が出てくる→ますます意見は出てこなくなるループ

組織の中にいる当事者の方々が、自分達がどのようないつものループの中にいるのか自覚的になれることは殆どありません。しかし、私たちチームコーチから見ていると、その「いつもの」がはっきとその組織を支配していることが良くあります。

その「いつもの」を抜け出すためには、自分達の「いつもの」に自覚的になる→「いつもの」にはまらない為のアイディアを出し合う→実践する。のサイクルを新たに回していく必要があります。「いつもの」のループを脱して、「いつもと違う思考・いつもと違う会話・いつもと違う行動をし、いつもと違う結果や価値を創出する」ためには知恵が必要です。そのために対話は必要なのです。

わかっていても、対話は面倒くさいし暑苦しそう

そう頭ではわかっていても、対話に踏み出せない人は沢山います。でも、実はわかる気がします。

だって、対話ってなんだかベタベタして暑苦しいイメージがありませんか??パーソナルスペースにずかずかと入ってこられてしまうのではないかという警戒心も芽生えます。

私がクライアント先にお邪魔すると、みなさんはじめはとても警戒されます。役割上、どうしても「対話」や「チームワーク」という言葉を使って説明することが多いのですが、みなさんの頭の中に浮かぶのはスラムダンクの様な円陣ファイオー!や、ONE PEACEの様な夢いっぱい。そういったものをイメージしますよね?

漫画としては非常に面白いのですが、今は令和の時代。多様性と個人主義の時代。そこを目指そうと言われても、心は踊らないし、むしろ嫌気がさしてくるのではないでしょうか。

しかし、対話の目的はあくまでも「いつもと違う思考・いつもと違う会話・いつもと違う行動をし、いつもと違う結果や価値を創出する」ことです。熱い思いを分かち合いながら友達ごっこをやることが目的ではありません。対話を開始する上では、まずはここを認識合わせすることが大切です。

対話のプロが対話をファシリテートするメリット

少しづつ対話を重ねていくと、まず対話に慣れてきます。そして、対話の価値や効果を実感できるようになってきます。最後には、対話のコツについて皆さん自身がわかるようになってきます。

私は、対話のプロが伴走することに下記のメリットがあると考えます。

メリット①:不毛な「いつもの」の可視化

「さあ、楽しくなんでも話しましょう」という対話は、その場は楽しいのですが組織に財産を残せるとは限りません。プロが入ることで、「いつもの」を可視化するからこそ、「いつもとは違う」対話がスタートしていきます。

メリット②:「いつもと違う意見」を活性化させる

普段対話が活性化しないメンバーであったとしても、そこに所属する全ての人達が生来の「対話ベタ」という訳ではありません。例えば異業種交流会、趣味の場など、環境が違えば対話が出来る。でもなぜか自分の所属組織だからこそ対話が出来ない。(そして、もしかしたらここに「いつもの」が潜んでいるかもしれませんね。)そこに、いつもと違う意見が出やすくなるための仕掛けを作っていきます。

メリット③:対話の成功体験と、プロセスの体系化

プロのファシリテーターがいなくなった瞬間に対話が出来ない、では組織は前進し続けることは出来ません。プロがいた時と同等のクオリティ、とまでは言いませんが、最後には体系化した対話のコツをお伝えし、みなさまに託していきます。

この3つが出来る様になると、組織には「いつもとは違う」力が宿り始めます。また、対話によって変わるとはどういうことかが体験学習的に理解出来る様になってくるため、対話は面倒なものではなく必要なものだと理解が進み、能動的な姿が現れてきます。


リプロキャリアでは、「組織の葛藤を、創造の力に」をモットーとし、様々な企業様の組織開発に向き合って参りました。「組織開発の壁打ちがしたい」「自社にどのような可能性や伸びしろがあるのか知りたい」と考えるお客様、是非お気軽にお問合せ下さいませ。

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