チームコーチング・システムコーチング®とは? ②:伴走の全体像と流れをご紹介

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組織開発やエンゲージメント向上の手法として近年脚光を浴びているチームコーチングやシステムコーチング®は、具体的にどのような流れで・どのように進んでいくのでしょうか。伴走支援の全体像と流れを簡単に解説していきます。(「この記事はチームコーチング・システムコーチング®とは何か?」)シリーズpart 2です。

まずは全体概要や効果を知りたい方はコチラから↓↓

チームコーチング・システムコーチングの伴走支援の全体像をご紹介~組織の変容には時間が必要~

※ここからはチームコーチング=システムコーチング®とし、表記をシステムコーチング®に統一してご紹介していきます。

まずは全体像のご紹介です。

目的 組織変革、カルチャーや風土の改善。そのために組織に属するメンバーが皆で自発的に考え行動することの支援。(※コンサルとは違い、コーチが改善のための方向性や解を提供することは行いません)
期間(目安) 6か月以上の伴走支援。伴走支援終了後の継続支援は別途ご相談。
形式 セッションを1回/月に実施。次セッションまでの1か月で、取り組み課題を決めて職場で実践
対象者 全員(対象者はご相談時に決定)
人数目安 2名~20名程度

 

「思ったより時間が必要だな」と思われた方も多いかもしれません。ですが、組織やチームを変えることはそんなに簡単ではありません。例えば、全員が退職を望んでいる組織に対して「セッションを1回実施して全員のやる気が大幅アップ!!」このようなことは起こりえないことは、ご想像いただけるかと思います。

全ての組織には、その組織特有のクセ(組織変革のレバレッジポイントでもありますがあります。例えば、ことなかれ主義、大きい声が全体の声を封じてしまう、対立、指示待ちになりがちで意見を言わない、etc...。しかし、そのクセがあることに組織の殆どの人は気づいていません。システムコーチング®は下記の様なプロセスで実施されます。

ステップ①: 組織のクセや特徴を炙り出す                                    対象者全員への1on1インタビューやセッションでのワークを通じて、組織の良い点・課題や伸びしろ・可能性を炙り出していきます。                                            ステップ②: その癖を持っていることに組織が気づく・認める。                      最初は、簡単にはその癖を自分達自身が持っていること受け入れられないケースも多々あります。例えばあなたが経営者だとして「この組織はことなかれ主義と忖度がある」と気づいたら、例えそれが社長だけのせいでなかったとしても、それを即座に受け入れることには抵抗があるのではないでしょうか。勿論社長だけでなく、誰にとってもそれを即座に受け入れることは出来ません。人には誰しも、受容のプロセスが必要です。                                                ステップ③: 対話する                                             ステップ④: 行動を変えていく                                                                                                この①~④のステップを何度も繰り返しながら、少しづつ少しづつ組織の在り方を変えていきます。システムコーチング®は1回で全てを変える劇薬ではないことは、最初にご承知おきください。

チームコーチング・システムコーチング®セッションの中で行うこと~組織のクセや特徴に気づくためのワークと対話~

 

セッションの前には必ず、コーチが参加者と1on1のインタビューを行います。組織を構成する一人一人がどのようなものの見方で自組織を見ているのかを明らかにしていくのです。そこからコーチは組織の状態がどのような状態なのかを見立て、セッションを組み立てていきます。

組織の状態はまちまちなので、パッケージとしてご提供することはありません。全てその組織オリジナルで組み立てをしていくので一概にこれをやります、ということはお伝え出来ませんが、いくつかの観点をご紹介していきます。

① Will(組織としてのビジョンややりたいこと)とMust(組織のやるべきことやKPI)のバランスは適切か

Willが強すぎたり、Mustが強すぎたりとアンバランスさが存在すると、組織の中に、疲弊・ことなかれ主義・見せかけの仲良しが生まれることが多くあります。きちんと一人一人が現在どのような状況なのか、どの様な組織にしていきたいか(will)そのためのMustは何かを話しあうことで、組織としての方向性を改めて握りなおします。

② 縛られている組織のアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)は何か

アンコンシャスバイアスはダイバーシティの文脈で語られる個々人の行動を指すことが多いですが、組織にもアンコンシャスバイアスは存在します。例えば職場でよく見かける「うちの会社はこういう社風だから」などです。既にアンコンシャスバイアスをご存じの皆さんであれば、この考え自体が組織の可能性を狭めていることに気づくはずです。

③ 会議室の中の象(誰もが見て見ぬふりをし続けている、解決しない問題)は何か

例えば「うちの会社は特殊だから。変えられないから。」と多くの会社が自社の特殊事情を言い訳に諦めていることなどを指します。本当は解決しなければいけないのことに目をつぶっていないでしょうか。これらの問題は様々な組織でよくある事です。もしこの象にきちんと向き合ったら、これまでとは違う未来が開けるかもしれません。

④ 組織の一人一人が大切にしているモチベーションや価値観は何か

キャリア研修等でも同様の研修は行われますが、あくまでそれは個人のキャリア観をブラッシュアップする目的で行われることが殆どです。もしこの個々人が大切にしている価値観やモチベーションを組織の力に変換することが出来たら、組織にどのようなパワーが加わるでしょうか。

上記のような観点はほんの一例ですが、組織としてきちんと対話を繰り返していくことにより、セッションの中ではこれまで生まれることがなかった感情が一人一人の口から表現されるようになります。そしてそこから得られるのは「葛藤の共有」「助け合い」「感謝や労い」「お互いへの勇気づけ」「目標への合意」などの組織の共同体感覚(関係性の変化)と、そこから生まれる会話や行動の変化なのです。

 

セッションにおけるコーチの役割 ~セッショで起こるすべてのことを支援し、組織の変化に繋げる~

 

みなさんの会社では、「自由に話して意見交換をする場」を設けたにもかかわらず、議論が活性化しなかった経験はありませんか?

コーチングセッションの中では、参加者の本音・感情など、本来話すべきことが話されるようになることを支援していきます。そのために、コーチは下記の様な役割を担います。

 

① 組織変革のレバレッジポイントの見極めおよび、参加者のメタ認知支援 システムコーチング®の目的はあくまで組織の変革です。そのために「仲良くなること」だけでなく「真の問題に向き合うこと」を、時に真面目に、時にユーモアをもって行っていきます。例えば、最近ご相談をされることが多いことなかれ主義。このような課題を見つけた場合にはその課題に気づくよう参加者に働きかけ、またそれを一人一人がメタ認知することが出来る様に支援します。
② 心理的安全性の確保 普段の会話に出てこないような考えや発言にこそ、組織を変えるヒントが隠されています。そのため、発言の内容をジャッジすることなく、全ての発言が尊重されるべき発言であることを発信し続けます。
③ 強い感情の噴出(対立・怒り・悲しみの発露など)が起こった際のファシリテーション 組織変革のレバレッジポイントに向き合うことは、対立・怒り・痛みなどの強い感情を呼び起こすことがあります。(必ずではないのでご安心下さい。時にはコーチへの怒りとして現れることもあったりします)それすらも組織変革のリソースとして力に変えていく為に、セッションの場をホールドしていきます。
④ 解決策のファシリテーションや勇気づけ セッションの中だけで組織を変えることは不可能です。どのように次回セッションまで職場で過ごすのか、の支援も行っていきます。

 

これらの高度な役割を担うため、コーチには高い倫理観と継続的な研鑽が求められます。読者の皆さんの中には「組織の在り方は変えたいけれど、本音で語るのは怖い部分もあるなぁ」と感じている方がいらっしゃるかもしれません。実際、本音で語り、困難を乗り越え、組織の姿を変えていくということは難しいことだと、私自身感じています。だからこそ、一人で抱え込まずに、訓練を受けたコーチと共に作り上げることに意味があるのではないでしょうか。

リプロキャリアでは、チームコーチング(システムコーチング®)を軸としながらも様々な解決策をご用意し、様々な企業様の課題解決のお手伝いをしてきました。今後もチームコーチングの記事を増やしていく予定ですので、これからの記事も楽しみにしてください。

 

Illustration by Storyset


 

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