3人の子を持つ営業ワーママ:営業を辞めずに続ける3つのコツとは
女の産み時Vol.3では、営業職というハードな職種につきながら3人の子育てをするN子さんにお話しを聞きました。 実はN子さんは、筆者の元同僚。お互い同時期に復職し、同じ組織で働いていた経験があります。当時、多くの社員がリーマンショック・東日本大震災・会社の合併や経営陣の刷新などの激動に耐えきれなくなり退職していました。 筆者もその中の一人。会社がごたごたしている事で営業職のワーキングマザーがとても働ける環境ではなかったことに嫌気がさして、退職という道を選びました。 一方N子さんは退職せずに頑張り、3人の子を産み育てながら激動の30代をもうすぐ終えようとしています。 「もし会社を辞めずに、営業を続けていたら、、、」そんな人生をN子さんに語ってもらいました。
1回目の復職:選べない担当顧客。自分のスタイルを変え、向き合い方を変える。
「高い成績を出し、バリバリと仕事をするスーパーマザー」ひと昔前まで、ワーキングマザーというとこういったイメージがありました。 N子さんが復職したのはその様な完璧な女性だけでなく、ワーママの中に少しだけ「普通」の女性が増えてきた過渡期。 N子さんはワーママのモデルケースを作りたかった会社の意図により、ワーママだけで構成された部署に配属となりました。 これまでの営業では「良い顧客を担当する」事が良い成績を出すセオリーを考えられていましたが、この部署は通常の営業担当者では担当しきれない零細企業を持つことがミッション。 既に担当企業が決まっていて、これまでのセオリーが通用しない中「小さい企業ばかりだからこそ、お客さん一社一社に向き合うしかない。」そう考えを切り替えて、以前よりもいっそう泥臭く営業に励んでいたといいます。 実はN子さん、復職が決まった際には既に第二子を妊娠していました。復職面談では仕事の面談と合わせて、第二子の妊娠報告と産休時期についての打ち合わせ。さすがに申し訳なさもあったと言いますが、そこは授かりものと覚悟を決め面談に臨んだそう。
2回目の復職:突然のベテラン扱いでマネジメントの対象外
2人目を産んで戻ってきたN子さん。復職後は「突然のベテランワーママ扱い」に戸惑ったと言います。 N子さんの中では30歳で1人目を出産してからほぼキャリアを積んでいない状況でしたが、周囲からは「バリバリの営業職で2人も産んで戻ってきた超ベテラン」と見られていたのです。N子さんの会社は若手が多くワーママも少なかった為、ベテランだから特に指導は必要ない、その様な色眼鏡で見られていたのでした。 その一方で、時短社員という理由で「過度な配慮」を受け、目標数字は必要以上に低く設定をされていました。 ベテランだからマネジメント対象外、時短社員だから腫れもの扱い。善意からとはいえ、ワーママ営業職が珍しかった時代、自分自身の立ち位置のアンバランスさに違和感があったと言います。 しかしN子さんにとって幸運だったことは、なんと自分の上司はN子さんが20代でバリバリ働いていた時に教育担当として教えていた後輩だったこと。 通常であれば「後輩上司」とのコミュニケーションに難しさを抱えてしまう人が多い中、N子さんは積極的に元後輩である上司とコミュニケーションをとります。 N子さんは子供を幼稚園で育てたいという教育方針を持っていたため、当時は5時間の時短勤務。「とにかく営業活動にフォーカスしたい」と不必要な会議の実施などを見直してもらい、結果としてチームで一番高い売り上げを上げるまでになりました。
3回目の復職:ワーママとして、自信をもって復職。念願の異動も実現。
その後、36歳で出産、1.5年の産育休を経て38歳で3度目の復職を果たしたN子さん。これまでの2回の復職があったおかげで、復職や両立に対する不安を抱く事なく復職ができたと言います。 そして、配属部署は念願の個人向け営業の部署。実はN子さんは個人向け営業の部署に移りたいという希望を胸に抱えながら30代を過ごして来たのです。 しかし、最初の1.2か月は辞めたいという思いに悩まされた事も。自信をもって復職出来たとはいえ、個人営業は初めて。社内では年齢的にベテランの域に入ってきた為、仕事の仕方がわからない・ベテランだから教えてもらえる立場にない、という事に苦しんだそう。 また、法人営業は業務時間内のみで完結しやすい仕事ですが、個人営業の場合には相手(転職希望者)は仕事が終わってからN子さんと連絡を取ることになる為、仕事が夜に偏りがちになるなど、個人営業ならではの難しさもあったそうです。 そんな時には、ワーママ仲間で集まってうまくストレスを発散していたそう。 「1人目、2人目の時にはまだワーママは珍しく、皆わき目もふらずに必死で仕事をしていた。でも時代は変わり、今は様々なワーママがいる。全員が必ずしもやらなきゃ!と思っている訳ではないし、愚痴に共感してくれるママがいるからこそ割り切れる勇気が持てる。」とN子さんは笑顔で話します。 N子さんは様々なワーママと接する中で、出来ないことは潔く諦める・必要以上に自分自身を大きく見せようとしない・出来る事に集中する、など少しずつ心の中を整理し、個人営業としての在り方を確立していきました。 また、ベテランとして「お局」の域に入ってきたと笑うN子さん。「幸運な事に今の会社は、何がしたいのか自分のやりたい事を発信できる社風です。お局だからこそ、開き直ってやりたい事をやりたいと言う、そんな勇気も出来ました。」 現在は、個人営業の新組織の立ち上げに参画、しっかりと実績を出しています。
そうして3人の出産・復職という激動の30代を駆け抜けていったN子さん。続いての記事では、20代~30代にかけてN子さん自身の心境はどのように変化していったのか、話を聞いてみました。
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