【子宮内膜症の専門医に聞く①】痛みや症状、お医者さんの探し方を徹底解説

生理のある人の10人に1人は持っているとされる子宮内膜症。今回は、既に子宮内膜症と診断がされている人が今後どのような事に向き合っていく必要があるのか、という事について書いていきます。

みんなの痛みはどのくらい? 困っていることは? 病院選びのポイントとはなんでしょうか。 (医療監修:東京女子医科大学産婦人科 教授 熊切順先生)

あなたは我慢しすぎていませんか? 強い痛みでも我慢して仕事に行く女性達

一般的に言われている子宮内膜症の症状は、強い生理時の下腹部痛。熊切先生の独自の調査によると、来院時には自分の痛みについて0(痛みなし)~10(耐えられない痛み)で表現してもらうと7~8、と表現している人多いそう。

また酷くなってくると一回の生理あたりの鎮痛剤の使用量が10回以上、中には子宮内膜症が重症化してくると20回以上も鎮痛剤を利用して痛みと闘っている人もいるそうです。

しかし、痛みによる仕事への影響度についての調査では「なし」「まれに」「中程度」「著名」の4つの中から選択してもらうと「まれに」「中程度」と答える人が多いそう。

痛みの度合いや薬の使用量から考えると、もっと仕事への影響を感じている人が多いはずなのですが、無理をして会社に行きその日は気力を出せば何とかなっている、と考える女性が多いのかもしれません。いずれにしても、毎月強い痛みに耐えながら薬で頑張ろうとしている女性達の姿が浮かび上がってきました。

代表的な症状は下腹部痛や月経過多の他に、腰痛、排便痛、性交痛、不妊など

月経過多(レバー状の血の塊が出る)や下腹部を中心とした生理痛が代表的な症状と言われている子宮内膜症。「痛むのは子宮か卵巣」と思い込んでいる人も多いでしょう。

しかし、悪さの元となっている子宮内膜が臓器のどこで炎症を起こしているのか次第で、様々な症状を引き起こします。

そのため、腰から下の広範囲の痛み(骨盤痛)や腰の痛み(背中側)、排便痛(子宮近くの直腸~大腸と子宮が癒着して発生)、性交痛(子宮と直腸の間にあるくぼみ部分が癒着して発生)など様々な痛みが発生します。また、原因不明の不妊女性の半数に子宮内膜症があると言われており、不妊症と密接な関連が指摘されています。

特に性交痛に関しては性交の度に痛みが出る為、結果としてセックスレスにつながりやすい傾向があります。

「時間が経過する間に子宮内膜症の進行と相まって不妊になってしまうカップルもいる。」と熊切医師は言います。子宮内膜症は単に生理時の痛みを引き起こすだけでなく夫婦間の関係や不妊にまで影響を及ぼす可能性があるのが辛いところです。

既に性交痛が激しいという方は治療を勧めるのは勿論の事、パートナーに不安を打ち明けた上で、セックスをしたい、したくない、どうすればお互いが満足できるのか、どのように出産計画をしていくのか、早めに話して理解しあう必要があるかもしれません。

性交痛に関する悩みは医師に相談する事で様々なアドバイスをもらえることが有ります。また、これから卵巣のう腫などで既に手術の予定が決まっている場合には、癒着をはがすことである程度の改善効果が期待できる可能性もあるので、恥ずかしがらずに相談してみましょう。

胸の痛みや血痰、血尿、下血など、、、知られていない驚きの症状

まさかと思われるかもしれませんが、悪さのもととなっている子宮内膜がどこの臓器に飛んで炎症を起こすのか次第で、様々な症状を引き起こします。

肺では血痰が出たり、膀胱では血尿が出たり、直腸では下血したりと生理時には特有の症状があります。また、手術経験があると手術の傷口に子宮内膜が飛んでその場所で症状を引き起こすこともあります。

子宮内膜症の人はうつ症状との関連性も

一般的な子宮内膜症に関する記事では書かれる事はありません。しかし、今回取材をした熊切医師以外にも複数の医師が、日々の診察の中で女性疾患とメンタル疾患の発症率は関連があるのではないかと考えています。

・ 毎月の生理時の辛い痛み

・ 進行するほどに生理日以外でも出てくる痛み

・ 原因不明の体の不調から来る不安(上記の様な諸症状を子宮内膜症の症状と認識していないケース)

・ 副作用と闘いながら薬を飲む葛藤 (但し、副作用は2.3月で殆どが消滅)

・ 仕事やプライベートに支障が出てくる事への、プレッシャーや申し訳なさ

・ パートナーや周囲の理解不足による、怒りや悲しみ

これらの状況が患者さんのメンタルを不安定にし、うつ症状を誘発するのではないかと考えられています。

このような子宮内膜症に付随するうつ症状を発症させない為にも、早期に治療に取り組むことが重要です。また既に女性疾患に関連していると思われるうつ症状を発症している人は、子宮内膜症をきちんと治療する事でうつ症状が軽快する可能性があるかもしれません。

子宮内膜症に強い医師、きちんと探していますか?

とりあえず、家や職場から近いところ、、、そんな風にクリニックを選んでいないでしょうか?

勿論、今の先生としっかりとコミュニケーションが取れていて何の不安も抱いていないのであれば、無理にクリニックを変える必要はありません。

しかし現在の先生の治療方針に納得していなかったり、不安を抱いている場合には、子宮内膜症の知識が豊富な先生のところを訪れてみるといいかもしれません。

クリニックの先生はインターネットで検索すると専攻を調べることが出来ます。「内分泌」「腹腔鏡」「内視鏡」「生殖」などのキーワードが盛り込まれているようであれば、子宮内膜症の治療に関する専門知識が豊富であると判断できます。

また、もともと産科や腫瘍(ガン)を専門にしていてもクリニック開業後に子宮内膜症の勉強をしている先生は多くいます。下記の学会や団体に参加している医師は、子宮内膜症に対する意識が高いと言えるでしょう。

エンドメトリオーシス学会(※エンドメトリオーシスとは英語で子宮内膜症の意味)

子宮内膜症啓発会議 

監修医師紹介

東京女子医科大学 産婦人科学教室教授 熊切順先生

内視鏡手術で実績がある順天堂大学内視鏡チーム出身。「子宮内膜症は難しく、とても取り組みがいのある病気。表層的な知識だけでなく、うつ病や性交痛による不妊の可能性など、様々な知識を多角的に伝えていきたい」。プライベートでは家族とキャンプに行く家族思いのパパ。