医師監修:卵巣嚢腫は手術後が本番! 妊娠と生理痛軽減の為に大切な5つの知識

子宮内膜症による嚢腫で手術を受ける人向けの記事です。卵巣嚢腫の再発率は5年で30%。将来の妊娠や生理痛軽減の為には、手術と同じくらい、術後の治療継続が重要です。(医師監修:順天堂大学浦安病院先任准教授菊地先生)

卵巣嚢腫摘出後でも妊娠は出来る?

基本的には卵巣嚢腫の手術では妊娠機能が消失することはまれですが、お腹の中の状態により様々なケースが想定されます。

1)チョコレート嚢腫部分だけを切除するケースや片側の卵巣だけを摘出するケース

妊娠機能が温存されるので妊娠可能です。(手術により卵巣が傷つき、卵子数が減少する事があります。その場合、その卵子数が回復することはありませんが、それでも妊娠率は変わらないとされており、術後早めの妊娠を考えるのであれば問題はないと考えられています。)

2)内膜症の悪化により癒着が進み、卵管閉塞等が発生しているケース

内膜症により嚢腫がある場合には、嚢腫と共に臓器内の癒着があるケースも。基本的には手術で不妊の原因となる癒着はきれいに取り除きますが、癒着の進行度によっては手術で癒着を取りきることが出来ない事があります。卵巣嚢腫の手術によって不妊になるのではなく、子宮内膜症や他の原因でそもそも術前から不妊症になっていて、手術で不妊原因を取り除ききれなかった、というケースに該当します。その場合に自然妊娠は難しくなりますが不妊治療(体外受精)により妊娠する事が可能です。

単なる嚢腫摘出だけであれば妊娠機能は維持できますが、体の状態は人それぞれ違います。自分の卵巣の状態がどうなっているのかは術前に先生に詳しく聞くことで、安心して将来の妊娠につなげていきましょう。

術後すぐに妊娠したい人は

子宮内膜症は、生理の回数が増える事でどんどん進行していく病気です。つまり逆にいうと、妊娠=生理を止める事なので、子宮内膜症の進行予防につながるのです。お医者様の許可が出たら、すぐに妊活を始めて大丈夫です。

また既に先生に不妊症の相談をしている人の場合には、手術中に卵管の通過性を確認します。この通過性確認でこれまで詰まっていた卵管が通りやすくなることもある為、妊娠をしやすいゴールデンタイムでもあります。卵管通過の確認をしてほしい場合には術前に先生にお願いしておきましょう。

当面は妊娠予定がない人、生理痛が辛い人はホルモン治療スタート

上の記事でも書いた通り、子宮内膜症は生理の回数が増える事でどんどん進行していく病気なのです。「え!せっかく手術をしたのに治療を続けなければいけないの!?」と戸惑う人も多いかもしれませんが、

ホルモン治療を続けないと手術で折角きれいに治した子宮内膜症がまた悪化し、それに伴い生理痛もどんどんひどくなっていきます。薬で生理を止めることが子宮内膜症の進行予防になり、ひいては不妊予防につながるのです。

治療で使われる薬は基本的にピル、(40歳以上であればディナゲスト)、GnRHアゴニストなどがありますが、お医者さんと相談しながら治療を始めてください。

再発率は5年で30%!治療をさぼると不妊も生理痛も進む

仕事も忙しく、病院に行く暇なんてない!と思っているあなた。もしホルモン治療を続けないと、、、子宮内膜症が進行→臓器の癒着が進む→卵子の卵管通過や着床に問題が生じる→不妊になる、と負のスパイラルに入ることも。最悪の場合、妊娠希望で久しぶりに産婦人科に行ったら卵巣嚢腫が再発していた、というケースもあります。

例えばピルであれば、服用を始めて体の状態が安定してきた場合に医師の判断で3か月程度の長期処方を可能としている病院もあります。またもし、手術を受けた病院が大病院で頻繁に通う事が難しい場合に、予約が取りやすい・夜遅くまでやっている・土日もやっているクリニックを見つけ、先生に相談してクリニックへの紹介状を書いてもらう事もできます。

めげずに細く長く続ける事が大切

薬はホルモンをコントロールするので、不正出血や更年期障害他、副作用が出ることがあります。薬を服用しはじめると体の変化に戸惑たり、淡々と薬をもらうだけの通院に意味を見いだせず、治療を辞めたい気持ちになることもあるかもしれません。

でも、後で不妊になり後悔する事だけは絶対に避けたいですよね。

副作用については3か月~1年程度でおさまってくることも多いので、一回の服用で白黒をつけるのではなく長い目で様子を見ることが重要。進行性の病気だからこそ、忙しくても、面倒でも必ずホルモン治療を続けて下さい。

そして最も大切なのは、薬に対する不安や要望についてきちんと話を聞いてくれるかかりつけのお医者さんを探すことです。

この子宮内膜症は厄介な病気ですが、術後もきちんと治療していけばあなたの望む未来はきっと手に入るはず。頑張って、治療を続けてくださいね。

監修医師紹介

順天堂浦安病院 先任准教授 菊地先生

子宮内膜症や子宮筋腫等の良性疾患や不妊治療のみならず、未受精卵の卵子凍結や男性不妊における泌尿器科との連携など、女性の未来の為に新しい試みにどんどん挑戦している先生です。毒舌を交えながらのストレートなお話しはわかりやすく、悩んでいる患者さんにズバリと方針を示して下さる先生です。